「県庁おもてなし課」(有川 浩著)を読んだ感想、書評
「県庁おもてなし課」を読みました。映画の予告編を何度も見ていたので、「高知県全体をレジャーランド化」するという大体の話は分かっていました。読んでいると、予告編だけでは、分からなかった清遠家の家族の事情の方に興味が移りました。喬介と佐和の関係が、もどかしくて、じりじりとしましたが、最後には、喬介が高知に戻ってくることになって、ほっとしました。映画はまだ観ていないのですが、佐和を演じた関めぐみさんは、読書中に私が描いたイメージに近いものでした。
「高知県全体をレジャーランド化」というのは、自治体の観光プロモーションの話です。自治体の観光プロモーションの問題点がいくつも指摘されています。
例えば、自治体の作る観光パンフが見る気の起こらない代物であること。観光をする人にすれば、「るるぶ」と「自治体制作の観光パンフ」を比べた時に、金を出しても「るるぶ」を購入するだろうということ。「るるぶ」が比較対象になっていることを意識するとが大切。実際に高知の観光パンフは、「るるぶ」を意識した誌面づくりに変わってきているとのことです。
観光で成功している馬路村の話。馬路村はアクセスがいいとは、とても言えない場所にあるそうです。しかし、馬路村には、アクセスが悪い中を来てくださった方への「おもてなし」の気遣いが随所にあるそうです。人々の声掛けはもちろん、あらゆるところに、手書きのメッセージや標識が観光客をおもてなしする気持ちを現しているとのことです。観光客も苦労(アクセスが悪いところへ行く事)することに、旅先での非日常を感じる事ができ、デメリットを逆にメリットに感じてもらおうという発想が素晴らしいと思いました。
その地に長くいると、その地域のどういったところが、観光客にアピールできる事なのかが分からなくなります。その点が、観光客の目線で正しく理解出来た時に、初めて観光戦略が出来るのだと分かりました。
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