「横道世之介」(吉田 修一 著)を読んだ感想、書評
「悪人」「パーク・ライフ」「さよなら渓谷」と吉田 修一さんの本を読んで来て、それらに劣らず評価の高い「横道世之介」を読んでみました。
1980年代後半が舞台の話です。懐かしい流行の描写が沢山ありました。主人公、世之介のガールフレンド、与謝野祥子は「不思議ちゃん」なのですが、とても魅力的でした。その魅力だけで、最後まで読み切りました。映画では、吉高 由里子さんが、与謝野祥子を演じていました。不思議ちゃんと言えば、吉高 由里子さんだとは思うのですが、与謝野祥子は、もっと「天然」なイメージが近いような気がします。
「横道世之介」は、あたたかい気持ちになれる青春小説で、確かに面白いのですが、吉田 修一さんの小説で、心に残るのは、「悪人」や「さよなら渓谷」などの暗い作品の方です。「さよなら渓谷」を読み終えた後の茫然自失な感じは、最近の読書では味わえなかった感覚です。