のーんびりと読書の感想、書評

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「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」(佐々 涼子著)を読んだ感想、書評

人が外国で死亡した時に、その遺体はどのように日本まで運ばれるのか、逆に日本に住む外国の方が亡くなった場合、どのように遺体が搬送されるのか、想像もしたことがなかったのですが、そういった業務を専門に行っている会社のノンフィクションです。海外で死亡した邦人の受け入れ、そして日本で死亡した外国人を母国へと送る事を「国際霊柩送還」と言うそうです。その草分け的存在のエアハース・インターナショナル社のドキュメンタリーです。


海外で亡くなる方の遺体の状況は様々で、国の文化、思想、宗教等の事情から遺体の状態は劣悪な事も多く、そのままの姿では、遺族の方が、安らかに見送ることが出来ないそうです。そこで、遺体の復元や防腐処理の技術を持っているエアハース・インターナショナル社の社員の方々が、心のこもった対応をされている様子がよく分かりました。職業として見たら、体力的、精神的なタフさが求められる過酷な職業だと思いますが、「幸せな姿で遺族の元に戻してあげたい」と懸命な作業をされる描写に心を打たれました。

 「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」は、第10回(2012年) 開高健ノンフィクション賞受賞作です。

 


遺体の防腐処置から輸送まで 知られざる「国際霊柩送還」の世界 - YouTube

 

エンジェルフライト 国際霊柩送還士

エンジェルフライト 国際霊柩送還士