「あんじゅう―三島屋変調百物語事続」(宮部みゆき著)を読んだ感想、書評
宮部みゆきさんの作品を今まで読んだことがありませんでした。以前、「レベル7」を途中まで読んで、読み進めることができなくなり、途中で終えてしまいました。前半の伏線を張る部分で、ページもめくるモチベーションが維持できなくなってしまったのが原因です。
それ以来、宮部みゆきさんの作品は手にすることがなかったのですが、面白い作品を書かれる作家であることは知っていましたので、他のものを読んでみることにしました。色々なタイプの作品を書かれますが、時代物を選んでみました。
「あんじゅう―三島屋変調百物語事続」は、神田、袋物屋の三島屋に行儀見習いとして身を寄せている「おちか」が不思議な百物語を聞き集める話です。この作品は、「おそろし 三島屋変調百物語事始」の続編なのですが、前作を読まなくても問題なく楽しめました。
各ページに挿入されている南伸坊さんのイラストも素晴らしく、作品をより楽しめました。
「あんじゅう―三島屋変調百物語事続」は、4編の話から構成されています。最初の「逃げ水」は、この作品の世界観をつかむのに少し時間がかかりましたが、3話目の書籍タイトルにもなっている「暗獣」では、「おちか」を始めとする三島屋に関わる方々のやりとりが楽しく、とても楽しめました。この「暗獣」が一番好きな話でした。
「暗獣」は、お化け屋敷と噂される家に住むことになった夫婦の話。お屋敷に巣くう正体不明の「くろすけ」と夫婦の交流にあたたかい気持ちになれました。お互いに言葉を交わすことは出来なくても思いは通じている「くろすけ」と夫婦。それゆえ、最後には悲しい選択をせずにはいられませんでした。
「おそろし 三島屋変調百物語事始」も読んでみたいと思います。
宮部みゆき『あんじゅう 三島屋変調百物語事続』TVスポット - YouTube
AR!映画村で宮部みゆきさん「あんじゅう」のキャラが動く - YouTube
中央公論新社による「あんじゅう」特設サイト
三島屋変調百物語事続 あんじゅう -宮部みゆき-|中央公論新社