のーんびりと読書の感想、書評

読んだ本の感想、書評、気になる本、読んでみたい本の話題。好きな作家、百田 尚樹、貴志 佑介、宮部 みゆき、有川 浩

「夢を売る男」(百田 尚樹 著)を読んだ感想、書評

「モンスター」「海賊と呼ばれた男」「幸福な生活」と百田 尚樹さんの作品を読んできて、次に「夢を売る男」を読みました。百田さんは、作品ごとに作風が違います。この作品は、ブラックユーモアたっぷりのテイストでした。

 

「BOOK」データベースより「夢を売る男」の概要

敏腕編集者・牛河原勘治の働く丸栄社には、本の出版を夢見る人間が集まってくる。自らの輝かしい人生の記録を残したい団塊世代の男、スティーブ・ジョブズ のような大物になりたいフリーター、ベストセラー作家になってママ友たちを見返してやりたい主婦…。牛河原が彼らに持ちかけるジョイント・プレス方式とは ―。現代人のふくれあがった自意識といびつな欲望を鋭く切り取った問題作。

 

探偵!ナイトスクープ」の構成作家などを長年やられていた百田さんの作品は、どれも「読者が読みたいことを、読みたい時に、読みたい体裁で」提供してくれる感じがします。それは、テレビ番組で、視聴者が見たいと思っている内容を、見たい順番、見たいテイストで提示することに繋がるように思います。作品ごとにテイストは違っていても、読者が読みたいものを、読みたい形で提供するという所が根底にあることを感じます。

 

主人公の牛河原に語らせている下記の台詞は、百田さんの本音なのだろうと思いました。

 

 「小説家の仕事というのは、『面白い話を聞かせるから、金をくれ!』と言う奇妙奇天烈な職業だ。だから、その話は聞く者を楽しませるためにする、というのが基本のはずだ。しかし人に聞かせることなんか微塵も考えないでただ自分の言いたいことだけを得々と喋っているような作家が少なくない」 

「文学的な文書とは、実は比喩のことなんだ」「日本の文学界には、主人公の心情を事物や風景や現象や色彩に喩えて書くのが文学的と思っている先生たちが多い」

「才能とは金のある世界に集まるんだ。現代ではクリエイティブな才能はマンガやテレビ、音楽や映像、ゲームに集まっている。小説の世界に入ってくるのは、一番才能のない奴だ。金が稼げない世界に才能ある奴らが集まってくるはずはないんだ」

 

夢を売る男

夢を売る男

 

 
夢を売る男 百田尚樹 - YouTube